【実体験】新卒でスタートアップに入って得たもの・失ったもの

2020年にスタートアップに入り、2年後独立し会社を設立した。

結局会社は豊かになれるほどの利益は残らず、上場企業にUIデザイナーとして入社した。

 

スタートアップ→フリーランス→上場企業とキャリアを歩むことになった私自身の経験から、

新卒でスタートアップに入るかどうかを迷ってる人に対してアンサーを書いていく。

何かヒントになればと思い、この記事を書く。

 

新卒でスタートアップに入るのはやめとけ?

結論、新卒でスタートアップに入社するのは、リスクが大きい。

リスクというのは、その後のキャリアに対してだ。

もし仮に、将来独立したいとする(スタートアップに入りたい人はそういう人が多いだろう)

 

その際、クライアントから仕事を取るときに見られるのは、あなたの実績だ。
熱量やどのくらい大変な組織にいたかなんて関係ない。

そして実績というのは、だいたい過去にいた会社の名前だ。これが現実だ。

例えば、過去にヤフーでデザイナーをしていた人と、聞いたことのない会社でデザイナーをしていた人がいた場合、クライアントは100%前者に依頼する。なぜなら、ヤフーのような大規模なサービスに関わっていたという実績があるから。

新卒で入ったスタートアップが順調に成長し、上場したなら話は変わってくるが、どれだけ華々しくメディアに出ていたり資金調達ニュースが出ていたとしても、上場できるスタートアップはほんの一握りだ。

一万社中、一社、といったレベルだろう。

その会社にあなたは入れるのか。ましてや、そのような有望な会社にあなたは入れるのか。その可能性は広大な砂漠からビー玉を見つけるくらい難しいだろう。

 

なので、もしあなたが将来独立したいと思っているなら、おとなしく大企業に入った方が得策だ。

例に挙げたヤフーやリクルート、楽天、サイバーエージェントなどは箔がつきつつ卒業生が独立している人が多い。

そうした企業にまずはエントリーして、順調にキャリアを歩むのが良いだろう。

新卒でスタートアップに入るのがおすすめなひと

新卒でスタートアップに入ることをおすすめできる人の現実的な特徴を挙げていく。

その事業課題に一生を注ぎたい人

意中のスタートアップが取り組む課題・事業領域に、一生を注いでいきたいなら、そのスタートアップに入っても良いだろう。

介護、物流、少子化、教育、貧困…

日本には根深い課題がいくつも存在する。その課題に対して、一生を注ぎたいなら、スタートアップに入っても良い。

 

理由は、潰しが効くからだ。

大前提として、スタートアップはだいたい潰れる。もしくは、資金調達をしているが故、上場もでき容易に潰すこともできない会社がしばしばある。

例えば介護業界をITで変えていく、といったスタートアップはたくさんある。そうしたスタートアップに入って事業がうまく成長しなくなり転職したいと思ったとき、介護業界に携わっていたということで、エスエムエスやメドレーなどの有望な会社に転職しやすい。

スタートアップに入ると様々な現実が見えるし、その業界に対する本当の課題といったものも見えてくる。

その事業領域に生涯携わりたいと思っているなら、スタートアップに入ってもキャリアが詰むことはない。

有望な会社に受からなかった人

私の場合、就職活動期にコロナ直撃で、軒並み新卒デザイナーの採用枠が閉じられた。

だから、有望な会社に入れなかった(もちろん力不足といのもある)。

そうしたときに、新卒でスタートアップに入る、というのは悪い選択じゃない。

理由は、スタートアップは入社時から即戦力としての働き方を求められる。私自身も、入ってすぐにSaaSのデザインを1人で任された。

その経験、実績は独立時や転職時に大いに役立った。

 

新卒の時に有望な会社に入れなかったからこそ、捨て身で仕事をしていたが、むしろそのような経験がその後のキャリアに活きた。

そうした、「何者かになりたいが、有望な会社から採用が出なかった」人は、スタートアップのような会社に入って捨て身で働くこともおすすめだ。

 

新卒でスタートアップに入るのがやめといたほうがいいひと

新卒でスタートアップに入ることをやめといたいい人の特徴についても、現実的に書いていこう

その会社が成長する前提で考えている

まず、前提として、スタートアップのほとんどはうまくいかない。今メディアで取り上げている会社も、いつ潰れるかわからない。私が大学生の頃、スタートアップブームがあった。その時に華々しくCEOがメディアに露出していたが、今でも名前を聞く会社は1%ほどだ。

つまり、前提としてスタートアップが成長し続ける前提を持っているなら、それはまやかしだと気づいた方が良い。

おそらく、スタートアップの規模なら面接にCEOが出てきたのではないか?そしてそのCEOが描くビジョンに惚れ込んだのではないか。

その考えはとても危険だ。スタートアップのCEOというのは、ほとんどがプレゼン上手で、人の心を動かす力を持っている。

だからこそ資金調達ができるし、給与を下げても入社したいという人を集めれるし、「有望スタートアップ」として注目を集めれる。

 

社会人経験を積んでいない大学生の1人や2人を惚れさせるなんて、CEOからしたら朝飯前だ。

 

新卒でスタートアップに入ることで得たもの

ここまで新卒スタートアップに否定的な意見を述べてきたが、もちろん新卒でスタートアップに入社したことで得たことも大きい。

主観が大きいが、私が得たと思えるものを書いていく

入社時から即戦力として動くことを求められ、それに応える力

スタートアップに教育体制はほとんどない。だから、入社した次の日には事業にアサインされるだろう。

それまでデザインを実務で行ったことがない自分にとって、SaaSのUIデザインにアサインされた日々は非常に刺激的で、チャレンジングだった。

そしてその求めに対して、当たり前に応えることを求められる。そのような毎日を1年目から過ごしていくことは楽しくもあり辛い日々でもあった。

その日々を超えたことは確実に自分にとって糧になっている。あの時の自分があったから今の自分があると自信をもって言える。

同じマインドを持った社員とのつながり

スタートアップには、ゆるふわ働いてそこそこの給料でいい、と思っているような勤め人マインドを持っている人はこない。

リスクがあってでも、人生という貴重な時間を課題解決に注ぎ込みたいと思う人材が集まる。

 

そのような環境で働き、つながりができたことは貴重な財産だ。

特に自分の場合、新卒1号での入社で、社員全員が先輩・年上だったから、とても可愛がられた。質問に対して丁寧に教えてくれたし、助けを求めるとすぐに手を差し伸べてくれた。

また、退職後に独立する人も多く、そのつながりでフリーランス時代に仕事をもらうことも多かった。

新卒でスタートアップに入ることで失ったもの

新卒でスタートアップに入ることで失ったことも多い。

元◯◯の箔

独立した時に、「元ヤフーです」「元リクルートです」という肩書きから信用を得て仕事をもらう、ということは非常に多い。信じたくないかもしれないが、これは現実だ。

「肩書きで仕事しないんだ」と思っているそこのキミ。甘いぞ

初対面の相手に対しては信用で9.5割決まる。

キミのフォロー欄に、「社長」という肩書きを持った人は多くないか?

インターンや説明会で新しく出会った友達の出身大学を聞かないか?

なぜ世の中には「東大式」「スタンフォード式」といった書籍が多く発行されているのか?

 

心に手を当てて考えてみてほしい。初対面の相手に対して、まずどのような過去をもった人間なのかを探るはずだ。

心理学的にも信用が大切だと言える。目の前の相手を理解する時に、まず肩書きや見た目などわかりやすい特徴から人を判断する。脳のリソースを節約するために。

新卒でスタートアップに入るということは、その次のキャリアで「元◯◯」という肩書きを失うことになる。その重みは想像しているよりも重い。

「いや、これから入ろうとしているスタートアップは元◯◯といえばわかる人にはわかる!」と、それでも思っているキミ。

 

一つ質問をしよう。

 

あなたはこの中から1人選んで、1時間5000円で人生相談ができる。どの人でも人柄がよく、親身に話を聞いてくれるし、真面目にアドバイスをしてくれる。職種はあなたがなりたいと思う職種を当てはめてほしい

・元リクルートの28歳
・元サイバーエージェントの28歳
・元マッキンゼーの28歳
・元アセンディングの28歳
・元ヤフーの28歳

 

さて、誰を選んだだろう。

将来起業をしたいと考えているならリクルートやサイバーエージェントか?外資コンサルのロジカルな思考に相談をしたいならマッキンゼーか?大企業でありつつも成長をし続けたヤフーでの働き方か?

理由はなんでも良いが、おそらく、「元アセンディング」の28歳は選ばなかっただろう。

だってそんな会社を知らないから。私が今適当に考えた名前の会社だ。

これが、信用だ。スタートアップに入るというのは、「元アセンディング」のような肩書きになると考えて良い。

その社名を知っているということは、その人のことを会う前にある程度予測できる。

逆にその社名を知らないということは、その人に会おうとすらしない。

 

そのような現実が、スタートアップに入った後のキャリアに絡んでくる。そうした将来のあなた自身の箔を捨てるということをしっかりと考えた方が良いだろう。

まとめ

新卒でスタートアップに入ることによって得ること、失うことを書いた。

この記事が少しでもあなたのためになったことを願う。