2006に株式会社法が改正され、資本金が1円でも会社設立ができるようになったことや、インターネットを通じたビジネスをすることで、
初期費用を抑えたり在庫を持たないでビジネスを始められるため、20代のような若者でも起業ができるようになった。
しかし、「起業すること」と「起業して事業を伸ばすこと」の間には大きな溝がある。
私も25歳のときに起業をしたが、1年持たず会社を解散させた。
この記事では、
- 20代で会社を設立し失敗した私がどうなったのか
- そもそも失敗原因は何だったのか
- もう一度起業前に戻るとするなら
上記を書く。
最後まで読んでいただければ、起業のリアルや、起業から学べることはなにか、これから起業するとしたらどうするかをお伝えできるだろう。
結論:起業失敗してもどうってことない
先にこの記事のタイトルに答えて置くと、「20代で起業して失敗するとどうなるか」に対しては、「別にどうってことない」が答えになる。
その理由として、私はまとまった資金調達をしていなかったからだ。
起業するには、まとまったお金が必要になる。初期費用がかからない事業をするにしても、あなた自身の生活費や社会保険料・税金の支払いなど、毎月20万円前後はキャッシュフローとして出ていくことを見積もっていたほうが良い。
そのお金が用意できていない場合は、他人からお金を集める資金調達が必要になる。
資金調達には主に2種類ある。投資家からお金を集めるか、銀行などでお金を借りるかだ。
更にいうと、このお金の出し手は、何も大金持ちや銀行を相手にする必要はない。
友人や親族でも良い。ただし、その場合は本当に信頼してくれている人でないと関係性がこじれることがあるので注意が必要だが。
つまり、会社を始めるに当たって、お金がないと事業する云々の前にあなた自身が生活できなくなる。
私は人よりも蓄えがあったため、資金調達をする必要がなかった。極論、1年間無収入でも生きていける蓄えがあった。
その上、デザイナーとして受託するスキルがあったから、お金に困ることはなかった(とはいえ、毎月生活費レベルでは赤字だったので不安は拭えなかった)
だから、起業に失敗したとしても、またWebデザイナー・UIデザイナーあたりで再就職すれば良いという安心感はあったし、実際その通りになった。
また、後で述べるが、起業でしかつかない視点も身についた。そういう面ではプラスの経験はかなり大きかった。
その後、上場企業のUIデザイナーとして再就職できた
会社を1年強で解散をした。その後、就職活動を行ったが、すんなりと就職ができた。
まだ27歳ということで、若手枠として採用されつつ、起業経験もプラスに捉えてくれる会社に再就職することができた。
これから起業しようと考えているデザイナーはそのように捉えておけば良い(ただし、年齢による)
20代のデザイナーに起業はおすすめか?
では、起業する意志があれば、誰しもが起業するべきなのか?おすすめなのか?と問われると、
「まぁ、やってみれば?」が9割、「でも準備はしてた方がいい」が1割、といった答えになる。
「まぁ、やってみれば?」というスタンスに関しては、「起業によるリスクは社会通念よりも低かった」という実体験から発している。
もっというと、あなた自身が経営者なので、「リスク管理ができる」ということが理由だ。
つまり、私のように、資金調達をせずに会社経営をするなら、解散したって特段誰にも迷惑はかからないし、銀行の信用情報にも影響はない。
一方で、向こう見ずに資金調達をしてしまったばかりに、会社を失敗した後に2000万円もの返済義務を負ってしまった知人もいる(彼は前向きに返済している)。
だから、起業自体にリスクはない。だから、「起業したい」なら「やってみればいいんじゃない?」がほとんどの答えになる。
デザイナー起業のための準備について
ただし、残りの1割の「準備してた方がいい」のスタンスについても述べさせてほしい。
1割のスタンスで「準備してた方がいい」と述べたが、「起業は9割が準備」とも言い切れる。
ネットで見るような「とにかく行動が大事」はだいたい嘘だ。
いや、行動はとても大事なのだが、「行動が大事」→「だから仕事をやめて起業しよう」は詭弁だということを認識したほうが良い。
もしあなたが社会人、特に入社3年目くらいで、
「一通り仕事もできるようになってきた。これ以上の成長は望めなさそう。一念発起して起業でもするか?例えばこの事業とかなら俺でもできそうだ。意外とうまく行ったりして」と思っているなら、会社を辞めるのは待ってほしい。まじで。
まず、あなたにしてほしいことは起業のための準備だ。
より具体的には、「受託開発以外の副業で月利30万円を連続して3ヶ月続けること」だ。
その上で、「今よりも時間を投下することで、利益が向上する」という状態を作ること。
事業において「10時間投下した事業が3万円の利益を生んだ」から、「100時間投下すれば30万円の利益を生む」とはならない。
「今より時間をかければもっとうまくいく」は基本的に裏切られる。
また、受託開発で利益が残っているからと行って、残りの時間をまるまる別事業に当てることというのもかなり難しい。
安定しないばかりか、クライアントを見つけることすらままならないこともあるからだ。
いや、むしろ「行動が大事」という言葉に騙されがちなのは、「10時間で3万円」の利益が上がっている人物よりも、「1円」すらも利益が上がっていない人物だ。
要するに、「1円」すらも利益が上がっていない理由が「会社に勤めているから」と論理が飛躍することが多い(私がそうだった)
まずは、副業で毎月30万円の利益を残せる人材になって欲しい。
逆に言うと、副業で30万利益を残せるなら、その人物は起業の成功が約束されるといえる。
起業の失敗原因について
私が起業に失敗した原因は、実はすでに述べている。
「準備不足」だった。
具体的に言うと、「副業で月30万円を3ヶ月連続して達成している」状態から程遠い状態で起業したことだ。
フリーランスデザイナーとして副業をしていたので、その収入があるから大丈夫だと思っていた。
また、多少赤字でも、貯金が持つ間に別の事業を作ればいいと思っていた。
ただ、その甘い見立てはことごとく裏切られる。
フリーランスとしてクライアントを見つけるのはかなり難易度が高い。
要するに、起業における準備というのは、「月に30万円の利益を残す事業を、受託開発以外で会社勤め中に作ること」だ。これしかない。
これすらできないなら、起業して成功なんてできない。
自分への戒めとして書いたが、いま起業するかどうかで迷っている人に届いたのなら、判断軸の一つとしてほしい。
もし今起業前に戻れるとしたら?
最後に、もし起業前に戻れるとしたら?という問いを考えてみる。
もうすでに何度も述べているが、もし起業前に戻れるとしたら、副業で事業所得が毎月30万円入るようになってから独立をする。
事業体はなんでも良い。転売でもアフィリエイトでもレンタルサービスでも。
とにかく、受託以外で30万円が入る仕組みを会社在籍中に作る。
とはいえ、当時の自分は、そんなことより自分の力を試してみたいという気持ちが強かった。
だからこそ、当時の自分を前にそのような御託を並べたところで、「うるせぇ!勝手にさせろ!」と思うだろうと思う。
そういう点では、自分のアントレプレナーシップがあったと言える。
最後に
最初に書くべきだったが、この記事では、受託開発会社を作る、ということを想定していない。
確かに、受託開発の会社であれば、会社在籍中の事業所得よりも、独立後に営業活動を行なっていくのも良い。
とはいえ、準備はできる。ホームページを作ったり、人脈を広げたり。
つらつら書いたが、デザイナーが受託時代を抜けて事業所得を目指す起業をするなら、
- 独立前に準備を仕切ること。
- 副業所得月30万
- 受託会社をするにしても、ホームページを作っておく
- 起業のリスクというのは、管理できる
- できれば資金調達をしなくて良い事業体・仕組みを作っておく
- 失敗しても、再就職は容易だ。特に30歳になるまでは、どしっと構えておいて良いだろう。