禁煙して1ヶ月半が経った

禁煙して1ヶ月半が経ち、どのように辛さを乗り越えたか、どのように体調やコンディションが変化したかを書く。

禁煙のきっかけ

禁煙しようと思ったきっかけは、断酒による効果が予想以上だったからである。以前投稿した断酒についての記事にも書いているが、不安障害がなくなった。これは私にとって非常に大きな変化である

私はアルコールによって分泌されるコルチゾールの分泌量が人よりも多いか、コルチゾールに対する耐性が低いかのどちらかで、飲酒によって不安障害が引き起こされていたのだと考えている。

またそれに加え、肝臓がアルコールを分解する際にもエネルギーを消費する。私は痩せ型なので、エネルギーの元となる脂肪が少なく、それにより飲酒翌日のアルコールの分解に元々少ない体力をさらに奪われていたのだろう。

それが断酒によって、ストレスホルモンの分泌が抑えられ不安・鬱々とした気持ちを抑制することができた。翌日の体力面についても、有意に異なるであろうことを観測した。

そうした断酒による経験があったからこそ、禁煙でも同等の効果があるのではないかと考え、実行に至った。

実際、いくつかの研究論文でも同様の示唆がある。

脳科学から見た禁煙支援のヒント(2019)』では、

ニコチン依存症において,他の依存症と共通して認められる主な神経学的変化には,依存対象(タバコ)に対する永続する報酬系の過敏化2,依存対象以外の報酬(食べ物や金銭)に対する報酬系の反応性低下3,前頭葉による制御機能の低下などがある.すなわち喫煙者は喫煙に関連する刺激に対して過敏に反応し,それを制御すべき前頭葉の機能低下と相まって喫煙に対するコントロールを失っている.

とある。

「依存対象以外の報酬に対する報酬系の反応生低下」は仕事や日常に対する楽しみやそれに対する反応性を低下させるようだ。タバコをやめることによって、依存対象以外の報酬に対する報酬系の回復し、仕事や日常への好奇心が復活するのではないかと考えていた。

また、日本禁煙学会の「禁煙ポケットブック」によると、

正常の脳波の周波数は、1秒間に 10〜11 サイクルですが、脳に障害がおきると脳波の周波数が遅くなり、8~9 サイクルまで低下します。タバコを吸うと 9.8 サイクルと遅くなり、「ニコチン」が減ると 9.3 サイクルと、さらに遅くなります。タバコを吸うと脳の働きが低下するのです。

と、脳の活動を表す脳波にも影響がある。

喫煙によってドーパミン、脳波に悪影響が及ぼされる。つまり、喫煙をやめることで知的生産の生産設備とも言える脳の働きを向上させることができるのではないか。

実際、この考えは正しかった。詳しくは後述するが、酒とタバコを日常から排除することで、毎日使いきれないほどのドーパミンが脳から放出されていることを感じる。

適切なマインドセット

禁煙を行うモチベーションは一般的に以下のようなものが多い

  1. 節約
  2. 健康(医者に止められた)
  3. 家族からの反対

私の場合は、上記のどれにも当てはまらなかった。禁煙を始めたのは、喫煙による脳の機能低下を取り戻すためだった。

禁煙を始めるには、外的な圧力よりも内的な胆力の方が効果があると感じる。

ちなみに、私は2年ほど禁煙をしていたことがある。

以前の禁煙では、ちょうど苦学生をしていた時期だったので節約が主な目的だった。当時は本当にお金がなかったので、辞めたくはないが辞めるしかない状況だった。非常に辛かったことを覚えている。

一方、今回は節約は副次的な目的として据えつつ、主目的は脳の機能を取り戻すこと。内側からの欲求で辞めたため、正直それほど辛くなかった。ただ、後述する離脱症状は辛かったが。

目的に優先順位をつけることが重要である。そして、主目的は自身のため、特に失った機能を取り戻すという強力な願いが必要である。

禁煙のつらさについて

禁煙を始めるために、知っておくべきことがある。それは禁煙の辛さである。

実は禁煙の最も辛いことは、吸いたいという気持ちと戦うことではない。

最も辛いことは、離脱症状である。

離脱症状とは、体からニコチンが抜けていく過程で生じる。

  • 体のだるさ
  • 眠気
  • 集中力低下

これらが、禁煙1~2週間の間に訪れる。これらの離脱症状は、非常につらかった

一方で、吸いたい気持ちというのはそれほど強くない。もちろん全くないわけではないが、想像しているような吸いたくて震える状態にはならない。

この離脱症状が治るのが3週間ほど。これ以降体に生じる悪影響は何もない。山場ははじめの3週間である。

禁煙を乗り越えるために活用したもの

私の場合、特別な薬やパッチなどは使わなかった。

その代わりに使用したのがアプリだ。

禁煙カレンダーと禁煙ウォッチというアプリを使った。

この二つは、禁煙の頑張りを可視化してくれる。

「それだけ?」と思っただろうが、頑張りを可視化することを甘く見てはならない。頑張りを可視化することは、研究によって明らかにされたレッキとしたモチベーション管理手法である。

毎日0を積み重ねることで、喜びを感じることができる。自分との戦いであるので、毎日自分に打ち勝ったことを可視化しよう。

禁煙の本質はアセットアロケーション

禁煙によって得られたこと。まだ1ヶ月半であるが、以下のような効果を得られた。

  • 集中力の向上
  • 意欲の向上
  • 時間の節約
  • お金の節約

このようにしてみると、禁煙の本質はアセットアロケーション、つまり資産最適化であることがわかる。

集中力・意欲というのは補給したエネルギーや睡眠によって回復した体力を変換して生み出す限られた資源である。

タバコを吸うことによってドーパミンが放出され、脳波が乱れるのだが、限りある資源である集中力と意欲を使っている。

また、時間とお金についても同様である。

時間についてはタバコを一本吸うのに5分ほどかかる。それを毎日15本を平均して吸っていたので、1日75分間喫煙に費やしていた。

今では元々喫煙に使っていた時間を読書や日記に費やしている。

お金については言わずもがなだが、実は禁煙はタバコ代以上の節約効果がある。コンビニに行く機会が少なくなるためだ。

タバコと一緒にお菓子や飲み物を一緒に買うことが多かった。しかし禁煙している今月に入ってからまだ一つも食べてない。こうした小さな節約が重なることで大きな金額になってゆく。

浮いたお金は本の購入代金、kindle paperwhiteの購入代金、株式に費やした。

このように、禁煙とは集中力や時間、お金のアセットアロケーションを行う余地を生み出すオプションであると言える。